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年間3000人のくせ毛を扱うプロ。井上賢治が語る『縮毛矯正のウソとホント』

特集

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TEMPER magazine 編集部
TEMPER magazine 編集部
くせ毛のプロスタイリスト集団が情報発信を行う、くせ毛特化型WEBマガジン『TEMPER magazine』の編集部。様々なくせ毛のプロによる知見を丁寧に整理し、偏りのない公平中立な発信を心がけている。編集メンバーは全員くせ毛。

『くせ毛』を語る際には必ず切っても切り離せない、『縮毛矯正』という技術。

経験がモノを言う『縮毛矯正』は、どのような美容師に担当してもらうのか?によって天と地のような差が生まれる難しい施術です。

 

  • 縮毛矯正がうまい美容師は何が違うのか?
  • うまくいく矯正といかない矯正はどう違うのか?
  • どうすれば技術を見分けられるのか?

 

といった『本音』の部分について、

年間3000人以上のくせ毛を扱い、『業界屈指のくせ毛カット・縮毛矯正のスペシャリスト』として日本全国でセミナー講師としても活躍されている美容師・井上賢治さんにお話をお伺いすることができました!

 

井上賢治さん
(Michio Nozawa Hair Salon Ginza)

 

うまくいく縮毛矯正とうまくいかない縮毛矯正の違いって?

編集部

年間3000人以上ってものすごい数のくせ毛を扱われているんですね。

縮毛矯正には技術の差が出るとよく耳にするのですが・・・プロの目線から見て、うまくいく縮毛矯正は何がどう違うんですか?

井上賢治さん

一言で言うと、やはり経験値ですかね。

薬剤の選定などが重要になってくるのですが、髪の毛の状態を正しく把握できるかどうかも鍵になってきます。

例えば、くせ毛の方なら日頃アイロンする方も多いと思いますが、意外と生え際が傷んでいたりということもあります。

編集部
生え際ですか!?
井上賢治さん

はい、生え際を一番気にしてる方が多いので。例えば後ろの部分などに比べて、生え際は自分でアイロンを当てやすい場所なんですよね。

そんな風にして、カウンセリングで例えば『何度で毎日アイロンしてるのか?』『一番傷みやすい場所』などを確認して、それによって使う薬が色々変わってきます。

 

編集部
どのように薬剤を選ぶかというのは、引き出しの数で差が出そうですね。

やはり、慣れてない人だと引き出しの数が違うと思うんですけど、それってどう覚えて行くんですか?肌感覚ですか?

井上賢治さん

そこはやっぱり、数をこなさないとなかなか難しいですねえ。教えてもらったり勉強したりするのも大事だけど、やっぱり実際のモデルさんを見て触って・・・というのが一番大事。

実際、僕も髪の弾力などで見るんですけど、そこはやっぱり経験値ですからね。

不自然なストレートやペタッとしてしまう原因

編集部

もう少しだけ細かく聞かせてください。縮毛矯正後によく聞く話として、

  • 『自然な曲がりにならない』
  • 『まっすぐになりすぎちゃう』
  • 『ペタッとしてしまう』

と言うことをよく聞くんですけれども・・・。ぶっちゃけ、あれはどういう原因なんですかね??

井上賢治さん

あれも、やはり髪質に対する薬剤の選定ですね。髪質に対して薬が強すぎると、ペタッととしちゃったりということが起こります。

髪の中の成分をどれだけ絶妙な位置で残せるか・・・。髪の芯の部分のバランスが重要です。

編集部
髪の芯の部分の調整・・・。なんだか難しそうですね。
井上賢治さん

さっきも言ったように、薬剤が強すぎれば強過ぎるほど、髪の芯の部分が弱くなってしまいます。

ですので、まずは薬剤の選定と洗い流すタイミングで柔らかさを調節する。そして、最後にアイロンを入れるわけです。

 

ポイント

薬剤の選定と洗い流すタイミングで、髪の柔らかさを調整する。

 

編集部

なるほどですね。

ということは、例えば『縮毛矯正の持ちが悪い』なんてこともよく聞くと思うんですけれども、 あれもやっぱり薬剤の選定になってくるんですかね?

後は、『痛みが出てしまう矯正』と『痛みの出にくい矯正』はどう違うのか・・・みたいなのも気になります。ここもやっぱり薬剤の選定・・・?

井上賢治さん

はい。基本的にここも薬剤の選定になってくると思います。

縮毛矯正に来られる方々って、アイロンの工程が一番大切だと思いがちなんですけれども・・・それは違うんです。薬剤の選定が一番大切なんですよね。

アイロンというのは形を作るだけなので、最初の薬で傷ませるか傷ませないか・伸びるか伸びないかってのは全て決まってきます。

編集部

たしかに・・・!(笑)

縮毛矯正するときって、あの『アイロンで伸ばしていく工程』がすごくインパクトあるんですよね。

髪が伸びていくのが目に見えるので、その「アイロン次第で決まっちゃうんじゃないか・・・」という不安はすごく感じたりします(笑)

井上賢治さん

そうなんですよね(笑)

でも重要なのは、やっぱり『薬剤の選定』なんですよ。

 

ポイント

髪の伸び具合・傷ませ具合で重要なのはやはり『薬剤の選定』

 

本来『縮毛矯正が取れる』ということはあり得ない

井上賢治さん

というか、本来そもそも縮毛矯正って、一度やればそこの部分はずっと伸びるはずなんですよ。『持ちが悪い』なんてことはありえないんですよね。

ですので、薬剤の選定で失敗している。薬剤が弱いというところですね。

ただもちろん、『持ちが悪い』『しっかりとかかっていない』と感じるのは、そのお客様が『気になっているクセの部分』を理解して伸ばせていない、という原因もあると思います。

編集部
技術云々よりも、どこまでお客様のニーズをくみ取れているか?という部分ですね。
井上賢治さん

あと、もう一つ考えられることとしては、根元がペタッとし過ぎてしまってしまっているということ。

僕は縮毛矯正をする場合、根元をちゃんと起こして自然にふわっとなるように縮毛矯正を行うんですよ。根元がべちゃっとなっていると、伸びていた時にすぐに気になるようになってしまいます。

だから、折れ目をつけないようにアイロンを行うことも大切になりますね。

編集部
そこは、アイロンも重要になると。
井上賢治さん
はい。この両方のポイントがちゃんとマッチしてこないと、自然な縮毛矯正はできません。 やはり、この辺は触って感覚で覚えていかないとわからない部分だと思います。

 

薬剤の選定って、どれくらい引き出しがあるの?

編集部

最初から一貫して『薬剤の選定』が重要だというお話でしたが、どれくらいの薬剤を使い分けているんですか?

普段そんなたくさんの薬剤を使い分けられているというイメージは、あんまりないのですが・・・(笑)

普通の美容師さんって、1人に対して何種類くらい使い分けるものなんですか?

井上賢治さん
う~ん、僕は場所によって分けて使ってるんですが、分けない人とかだったら1種類2種類っていうことは多いと思いますよ。
編集部

僕も、そんなイメージでした。

じゃあ、井上さんは??

井上賢治さん
大体、一人のお客様に対して4種類から5種類ですかね。
編集部
多っ!(笑)
井上賢治さん

さっきも言ったように、髪の部分部分の状態や仕上がりのイメージに合わせて、場所によって変えて使い分けています。

なので、僕の場合は一人のお客様に対して、大体4種類から5種類ぐらいの薬剤を使い分けることになりますね。

編集部
こういう所が最終的な仕上がりの違いにつながるんですね・・・
井上賢治さん
そういうことです。

 

次回は『縮毛矯正をやめる方法』について!

今回のインタビューでは、『縮毛矯正の仕上がりの違い』についてお伺いしてきました。

次回の後編では、

  • ずっと縮毛矯正だけど、クセを活かしてみたい場合のコツ
  • 多くの人が縮毛矯正を卒業するタイミングとは?
  • 活かすか・矯正するかをどう選べばよいか?

 

などについて、年間3000人以上を扱うくせ毛のプロの目線から『縮毛矯正をやめるには??』という話について深くお伺いします!

プロならではの説得力のあるアドバイスを頂いてきました。後編もお楽しみに!!

 

井上賢治さんについて

 

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