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その縮毛矯正、ホントに必要?北の大地でくせ毛カットを追求する美容師・内藤和哉

特集

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内藤和哉
美髪屋 オーナースタイリスト
北海道にあるサロン『美髪屋』オーナースタイリスト。『くせ毛カット』などくせ毛に特化したメニューを打ち出すなど、くせ毛のカットに関する深い知識を持つ。謙虚で丁寧な人柄も特徴。
『くせ毛カット』と一口に言っても、その方法や技術は人それぞれ。

札幌市のヘアサロン『美髪屋』のオーナースタイリストである内藤和哉さんも、特にそのくせ毛のカットに力を入れている美容師さんの1人。

内藤さんは、過去に100人以上もの多種多様なくせ毛の方を集めて、切りまくりながら自身のくせ毛カットの理論を作ってきたそうです。

今回はそんな内藤さんに、『くせ毛カット』の難しさや特徴・ポイントなどについてお伺いしてきました。

TEMPER magazineでは初めての『北海道美容師』ですので、北海道にお住まいの方には特に必見の内容となっております!

内藤和哉さん
美髪屋 オーナー

札幌市中央区にあるヘアサロン『美髪屋』オーナースタイリスト。特に『くせ毛カット』などのメニューを打ち出して、くせ毛の悩み解決に長けている。自身が運営するブログ(http://naitokazuya.com/)では、丁寧なカウンセリングへのこだわりや謙虚な人柄が現れている。

編集部
内藤さんは現在北海道で活動されているんですよね。元々、北海道の方で活動されていたんですか?
内藤さん
そうですね、ずっと北海道で美容師として活動しています。
編集部

『くせ毛特化』の美容師さんって確かに探せば見つかるんですけど、北海道の方で活動されている方を見かけたのは内藤さんが初めてでした。

本日の取材も、快諾して下さってありがとうございます!

内藤さん
いえいえ、ご連絡頂いてこちらこそありがとうございます。

『くせ毛で悩む人をゼロにする』っていうテーマを聞いて、自分ともリンクするところもあり、いいなと思ってぜひご協力してみたいと思いました。

編集部
ちなみにその『くせ毛に特化した』という所なんですけど、内藤さんはどういう経緯でくせ毛に特化させていったんですかね?

なぜくせ毛に特化し始めたのか?

内藤さん

僕の場合、最初は『何か他の美容師とは違う売りになるようなものはないかな?』っていうのを考えるところから始まりました。

例えば、カラーやトリートメントっていうのはどこでも誰でもやってるんですよね。

美容師っていうのは根本的に言うと『ハサミを持って行う仕事』なので、『切る』って言う所で特化していきたいなと考えるようになりました。

編集部
カラーやトリートメントも大事だけれど、カットの部分により個性が出るのではないか?ということですね。
内藤さん

はい。ですが、『カット』と一口に言っても、デザインなどには時代性があるんですよね。

例えば最近だったら『切りっぱなしのボブが上手い』って言っても、正直みんな上手いんですよ。

そしたら、やっぱり埋もれちゃうわけですし、僕である必要性はないんですよね。

編集部
流行りのデザインなどが上手くても、それもみんな出来てしまうから同じなんですね。
内藤さん

そこで『僕じゃないといけない技術』を見つけるために、色々とお客さんの悩みを聞いていたんです。

そこで気付いたのが、『くせ毛で悩んでいる人が美容室を転々とする傾向』でした。

編集部
なるほど!!これは今読んでいる読者の方も、首がもげるほどうなずいていると思います(笑)
内藤さん

実際聞いてみると、

  • 誰にやってもらっても上手くいかない
  • 自分の思うようにいかない

っていうことが多いみたいで、結局は『縮毛矯正かけましょう』という方法に落ち着いて終わる・・・という声が多かった。

そこで、色々と考えてみたんです。

それ、本当に縮毛矯正が必要なの?

内藤さん

もちろん、縮毛矯正も1つの有効な手段でもあります。僕もパーマや縮毛矯正もやらないわけではないんですよ。

でも現実問題として、お客さんの話を聞いてると、

  • 『縮毛矯正はかけたくない』
  • 『かけなくて良いんだったらかけたくない』

という人が多いんですよね。少なくとも半数以上はそう考えていると思います。

編集部
たしかに、出来ることならカットだけの方がいいな~と思っている人は多そうです。
内藤さん

だとしたら・・・、それやんない方がいいでしょ?っていうのが僕の考え方ですね。

『カットでなんとかなる』っていうのが、理想としてはお客さんにとっていいわけじゃないですか。

もちろんお店としてはやっぱり利益は下がります。利益だけ考えたらやってくださいとはもちろん言いたいんですけれども(笑)

編集部
たしかに(笑)
内藤さん

でも、それ以上に実際に悩んでいるお客様のことを考えると、やっぱり『ホントは縮毛矯正をかけたくないのに、かけちゃう』っていうのはあんまり良くないって思うんです。

お金もかかるし、時間もかかる。それがもしなくてもいいなら、それをなくせる生活の方が最高ですよね?っていう風に思っています。

理想で言えば、『自分のクセが好きになっていくような感じ』ですかね。

編集部
そうなれればどんなに良いことか・・・と思いますね。
内藤さん

でもそれをやめようと思ったら、当然やっぱりカットが上手じゃないとダメじゃないですか。

だから、カットを極めていきたい。

何とかして『縮毛矯正をかけない』っていう選択ができる髪型に、それぞれの人に合わせて作っていきたい。

そういう想いがあって、僕はカットにこだわりを置いているんですよね。

編集部
なるほど~。それがキッカケで、『くせ毛のカット』を追求するようになったんですね。すごくしっくりきました。
内藤さん

そうですね。

それこそ、『くせ毛の人集まれ~!!』みたいな募集をかけて、様々なくせ毛の人をたくさんカットしまくった時期もありました。

そのときだけで、100人ぐらいは来てもらったんじゃないですかね。

様々なくせ毛を100人集め、ひたすら切りまくった

編集部

それめっちゃ面白いですね!

北海道でも100人集まるってなかなかすごい気がします。それはどうやって募集かけたんですか?

内藤さん

SNSやブログもそうですし、あとはホットペッパーとかそういうサイトで募集をかけまくりました。

そしたら、意外にも結構な数来てくれるんです。実際悩んでる人が多いんですよね。

編集部
それは、くせ毛のカットの理解を深める、みたいな狙いでやってみたんですか?
内藤さん

そうですね。

もちろん、そのときは『あくまでも実験台ですよ』っていうカットモデルの形でですが。

そこで多種多様な形のくせ毛の方をピックアップして、すべて試行錯誤しながら考えながら切りまくりました。やっぱり、それなりに上手になりましたよね。

編集部
そこで内藤さんのカット理論が形作られていったわけですね。
内藤さん

まず色んな切り方や考え方・理論などを考えみて、それをもとにしてやってみて・・・

という所の繰り返しだったので、もちろんそれだけではまだまだ足りない部分も色々ありました。

『その理論でやってみたら当てはまらなかった』っていう人も、実際にいましたし。

編集部
なるほどです。本当に試行錯誤ですね。そこでたどり着いた内藤さんのカット理論について、もう少しお伺いしてみたいです。

内藤さんのカット理論の特徴

編集部

色んな美容師さんからお話を聞いていると、くせ毛のカットにも色んなスタイルがあるんだな~と感じています。

例えば『ドライカット』『サスーンカット』など色々なカッを聞くのですが、今の話を聞いた感じだと・・・

内藤さんの場合は、色んな理論・技術をミックスさせた『ハイブリッド型』みたいな形なんですかね?

内藤さん

やっぱり、色んな切り方がありますもんね。僕はそんな感じに近いかもしれません。

ただ、例えば『一切髪をすかない』という方もいると思うのですが、僕の場合は発想としては全く逆のタイプなんです。

編集部

なるほどなるほど!それは興味深いです!

どんな発想になるんですか?

内藤さん
細かい部分ではお客様に合わせて変わりますが、基本になるのは『なくしていく』っていう考え方なんですよね。
編集部
なくしていく。
内藤さん

『うねりの強いところを除去』するような形ですね。

カットって、

  • すくか
  • 短くするか
  • 長く残すか

という選択肢しかないので、その中でもやっぱり『すき』の部分がポイントになります。

編集部
『すき』の部分が重要になるんですか?
内藤さん

『短い髪の毛を作ることで強いクセをできるだけ減らしていく』というような考え方ですね。

考え方としては彫刻に近いですが、ベースはそのような考え方です。

編集部

はぁ~、そういう考え方なんですね。

面白いです!

内藤さん

うねりの強いところは残しても広がるし、どうしても膨らんでしまう・・・という所があるので、そこはカットでできるだけ取り除きます。

あとは、当然髪型はカットだけで形ができるものではないですよね。

ですので、常に意識していることは『お客様が365日自分でスタイリングするなかで、それをできるだけ楽チンにしていく』というところですね。

くせ毛カットの難しさとは?

編集部
やっぱり、くせ毛は直毛の人よりカットが難しくなるんですか?
内藤さん

やっぱり難しいと思いますね。淡々と普通に切って、それが同じ位置で切り収まるか?というと・・・そうではないので。

クセによってカットラインが思ったより短くなったりとか・・・

あとは、厚みを取った時に髪質として

  • 『減らすと膨らむ人』
  • 『減らすとペタンとなる人』

っていう真逆のパターンがあるんですね。

ですので、普通にすいたらボリュームが出るかというと、必ずしもそういうわけでもないんですよ。

編集部
『くせ毛』と一口にいっても、その種類によって適切な切り方は全く違ってくるんですね。
内藤さん
そうです。だから、そこの見極めがかなり重要だと思います。
編集部
様々なくせ毛を切りながら、様々な理論と照らし合わせながら・・・というところで、そのあたりの見極めの精度が上がっていったわけですね。
内藤さん

そうですね。

といっても、思ったより膨らんでしまったりとか、外れる時ももちろんあります。

でもやっぱり、経験の中である程度精度は上がっては来ます。

色んなくせ毛を見てくる中で『この人は多分すいたら膨らむかな』とか『すいたらペタンとなっちゃうかな』っていうのは大体わかってきますね。

編集部
自分の中にいかにデータを蓄積できているか、ですかね。
内藤さん
そうですね。

様々なくせ毛の人を切った経験がないと分からないでしょうし、そういった意味では経験値がある程度ないと確かに難しいなという感じがしますね。

くせ毛の悩みを生んでいるのは美容師かもしれない

編集部
そういう経緯もあって、今では『くせ毛カット』に絞ったメニューも出しているんですよね。
内藤さん

そうですね。やっぱりくせ毛で悩んでる方対象にしてメニューを明記して出しているので、様々なくせ毛の人がいっぱいこられますね。

もちろん強さは様々ですが、意外とあるのは僕からすると『思ったほどくせ毛じゃないよ』っていうようなレベルの人が結構来ることですね。

編集部
でも、『くせ毛で悩んでいる』ということで来られているんですもんね?
内藤さん

やっぱり、いろんな美容師さんに『あなたはくせ毛です』っていう風に散々言われちゃって、悩みになっているケースも多いかもしれないですね。

ある程度うねりはありますけれど、扱いやすいようなカットすれば問題ない可能性もあるのに、それをせずに結局縮毛矯正をしている。

その結果として、本人が『自分はくせ毛で大変だ・・・』と悩んでしまっていることがよくあります。

編集部
なるほど・・・。難しい問題ですね。
内藤さん

これって、僕ら美容師側がくせ毛で悩む人を生んでしまってる、という可能性もあると思うんですよね。

プロからそう言われると、自分くせ毛だから縮毛矯正しなきゃダメなのかな・・・って信じ込んちゃうっていう場合もあると思うんで。

編集部
縮毛矯正は単価が高いので、店の利益を考えてそちらに誘導しようとするケースは聞いたことがあります。もちろん、縮毛矯正スタイルが良いなと思うケースもあると思いますが・・・
内藤さん

その場合もあるでしょうね。

でもくせ毛いっぱい見てる人からすると、むしろくせ毛というよりまっすぐじゃない?っていう風に思ったりという事も結構多いです。

全然カットで上手くできますよ、みたいな人が半分はいかないけれど、割とたくさんいるのかな?っていう印象です。

編集部
なるほどー。その場合は確かに悩みを生んじゃってる感じがあります。
内藤さん

それで聞いてみたら、今まで『あなたはくせ毛』だって言われて、ずっと縮毛矯正を提案されてた人も結構いるんですよね。

もちろん、それで悩みが解決することもあったりするので、縮毛矯正が必ずしも間違えた選択ではないのですが。

編集部
どんなスタイルにしたいのかなどによっては、もちろんかけた方が良い場合もありますもんね。
内藤さん

けれども何というか・・・

ちゃんと聞いてみたら『やらなくても良かったよね?』っていう場合もあるから、そこにお金を使わせてしまってるっていうのがやっぱりなんかもったいない気がしますよね。

他に使えるお金の使い道があると思うから・・・。あんまりこう、むやみやたらに縮毛矯正を勧めないようにはしてますね。

美容師は『終わらない仕事』

内藤さん

でも、そうやってカットでなんとかするためには、それ相応の技術がないといけないですよね。

もちろん僕もこれまでたくさん練習してきてますけど、まだまだ上手くやれる部分もあると思っています。

編集部

なるほど・・・。

サラッとおっしゃってますけど、それを言えるって結構すごいことだと思うんですよね。

常によりよいものを目指して、慢心してしまわない謙虚な姿勢がすごく好印象です。

内藤さん

『他の美容師さんにずっとできないと言われてきたけど、僕のところにきたら全然出来た』という場合もあります。

やっぱり、『できない』っていう風に学びをとめてしまうのは危ないなと思いますね。

編集部
常に学んでいく姿勢が大事なんですね。
内藤さん

やはり、『チャレンジするのを、探求していくのを、どこかでやめちゃってしまう』というのが、悩みを増やす1つの原因になってると思うんですよね。

もちろん僕にも出来ないことはあります。

でも、『できない』で終わらせない。

『なんとかなるかもしれない。けれど、今は何ともならない。ただその中で、何とかしていく方法はないのか?というのを探していく』

こんな姿勢でありたいな、という感覚は常にありますね。

編集部

それって、結構難しいことだと思うんですよね。

追求しようがしまいが、飯を食っていくための仕事だったら極論そこまでしなくてもいいわけなので・・・。

内藤さんのような謙虚に追求される美容師さんが居るのは、悩まれている方からしてもすごく安心出来ることだと思います。

内藤さん

やっぱり、美容師ってのは終わらない仕事なんですよ。デザインも変わるし、技術も変わる。

日本人の髪質自体で見ても、昔はカラーもパーマもしてないから太くて硬い黒いっていうのが、だんだん欧米化してきて細くて猫っ毛になって・・・

という風に、どんどん髪質自体のベースも変わってきてます。

編集部
同じ事をやっていてもダメだということですね。
内藤さん

だから、やっぱりそれに合わせて対応していかないといけないですよね。

理論自体もそれに合わせて変化していくのが当然なので、1つの理論にしがみついていると取り残されてしまいます。

ですので、常に追求していくという姿勢は崩さないでいたいと思っていますね。

インタビュー中でも、言葉の節々から謙虚な面が垣間見えるとても丁寧な方でした。

くせ毛の悩みを解消するためには、技術ももちろんそうですが『向き合ってくれる美容師を探すこと』が最も大事なことになってきます。

北海道にお住まいの方でくせ毛にお悩みの方は、ぜひ内藤さんのカットを一度体験してみてはいかがでしょうか?

内藤和哉さんについて

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